2022年12月30日

アンティークを活かす、新たな空間をデザイン

骨董品店や蚤の市で見かけるアンティーク。これまで大切にされてきた古い小物や家具など様々なアイテムが存在する。コレクターにとっては収集する事が喜びだが、そんなアンティークをアップサイクルし「古いものが活きられる」空間をデザインする会社がある。株式会社ブランキューブの代表市川氏に話を聞く。

アンティークの古さと新しさを融合させる

歴史ある建築物が今でも当時の面影を残す北欧の古い街並みが好きで、そのようなイメージを商業施設や住環境に取り入れるデザインを企画しています。古い物そのままという事でなく、新しいものも取り入れた新旧の組み合わせのバリエーションですが、特にアンティークを取り入れた「物から入るデザイン」にこだわっています。

16世紀のステンドクラスをキッチンの仕切り壁としてアップサイクル
アンティークの額縁は鏡のフレームに
骨董品のガラスランプを照明として空間に利用
骨董品店で見つけた置物のスペースとして壁に施したニッチ

古さは価値、しかし機能として使えなければ意味がない。

僕のデザインにおけるアンティークというのは、それだけがポツンとあっても仕方なく、機能として使えなければ意味がないという考えです。古いステンドグラスを実際の窓として活用するとか、年代物の絵画の額縁を鏡のフレームとしてアップサイクルするなど、空間の中に古い物が実際に活用され活きられるという事を重要視しています。

カフェの椅子は年代物のアンティーク。この椅子に合わせたテーブルを造作

空間や内装のデザインに際しては、ビンテージのギターを飾るのに合う壁はどのようなものかなど、アンティークありきという場合も多いです。空間全体のバランスを考え、天然木材やロートアイアンを活用したり、場合によっては“造形技法”を使って壁や家具などを作ります。また、あえて古く見せるエイジング処理を施して演出する事もあります。アンティークに空間を合わせるという事ですね。

造形前の壁
左官の造形技法によって作られたレンガの壁
空間のイメージに合わせてドアはエイジング

古い物を新たな空間と融合させ、新たな価値として使い続けていく事ができたら素敵なことだと思っています。