2024年07月17日

独自技術で機能性とデザイン性を実現。超薄型バイオプラスチックグラスで持続可能な未来を目指す

精密部品の深絞り順送金型・プレス加工をはじめ、次世代自動車・半導体など電子部品の精密金型・プレス加工を展開する日進精機株式会社。同社では、生分解性プラスチックを用いたプロダクト開発に取り組み、2024年に超薄型バイオプラスチック(PLA)グラス「Bio7」「4Tiers」を実用化しました。環境に配慮した製品開発を通して環境課題解決やサーキュラーエコノミーの実現を目指す理由について、代表取締役社長の伊藤敬生氏に聞きました。

日本のモノづくり企業として、自社の高度な技術を活かし環境に配慮した製品開発に着手

精密プレス金型の専門メーカーとして1957年に創業した日進精機。従来の手加工による金型製作を機械加工に変える新しい製作技術を開拓し、以来、精密金型製造技術をコア・コンピタンスとしながら、次世代自動車や航空機、ICT技術へ応用されるコンポーネント等を独自技術で生み出してきました。また、モノづくりにこだわり、金型製作という高付加価値な技術をベースに成⻑産業の中核を担う製品の企画開発・デザイン・製造までを一貫して手掛けています。

近年、脱炭素社会の実現や脱化石資源由来プラスチックの機運が高まっています。日本のモノづくり企業として何が出来るかを考え、自社の高度な技術を用いて開発したのが「Bio7(Hepta)」と「4Tiers」です。

バイオ7(Bio 7 Hepta)厚み0.65mmで底部の7角形から除変させて口元の形状を円形にするユニークなデザイン

素材は100%生分解性。デザイン性と実用性も両立

使用した生分解性樹脂はポリ乳酸由来の「PLA樹脂」と呼ばれ、トウモロコシやサトウキビなどを原料としています。コンポスト内では約3ヶ月で生分解され、土中で 5年程度、海洋中では10年程度で生分解されます。PLA樹脂はその生成から分解に至るまで、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の量を増やすことがありません。1kgの生分解性プラスチックガラスが石油由来のガラスと比較して2.57kgの二酸化炭素を削減することが可能です。


PLA樹脂は単一素材では大変に成形が難しく、一般的な成形方法では厚さは1mm位が限度とされてきました、私たちは独自の高度な製造技術でこの難成形材料に挑み、厚み0.65mmを実現しました。

底部のヘソの位置から口元までの長さ(流動長)は135mm程で、開発当時は世界最長(当社調べ)です。薄く滑らかな口元が口当たりを一層引き立てます。実用性とデザイン性を両立したグラスです。

4ティアズ(4 Tiers)段差を目印に目安の分量も測れ、手に馴染みやすいグリップ感

スクラップゼロでコスト面へも配慮。量産体制も構築

PLA樹脂は世界において普及の割合が最も高い生分解性樹脂ですが、一般的な化石資源由来樹脂と比較すると価格は約4倍にも及びます。そこで特殊な加工方法を用いてスクラップゼロを実現し、成形時間を短縮するなどの工夫を施してコスト面でも優しい製品を目指しました。

用途はエコフレンドリーなイベントやアウトドアなど環境に配慮したイベントでのドリンクウェアをはじめ、環境保護のメッセージを込めたノベルティグッズとしてや、環境問題に関する教育目的にもご活用いただきたいと考えています。

長野県・飯田市に量産体制を構築する新工場(GXものづくりセンター)を新設し本格稼働

本製品の量産体制を構築するため、長野県・飯田市に新工場を設立し本格稼働しました。あわせて同拠点にGXものづくりセンターを設置し、耐熱性を高めるための材料開発にも引き続き注力しています。

今後も、環境に配慮した製品開発に積極的に取り組み、持続可能な未来とサーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。