工場から排出される利用価値の少ないものを原料としてアップサイクル。建材を通じて資源循環型社会づくりに貢献する日本エムテクスの取り組み。
「NURU DENIM」とは“塗るデニム”であり、大手デニム工場から出た端材を活用した壁材・天井材です。日本における洋服を製造する際に工場から排出される端材の量は、実に年間約45,000tとされています。この排出されるデニムの端材を粉砕し、左官材へアップサイクルしました。接着剤を使用していないため、古くなっても水をかけて練り直すことで、再び左官材としてよみがえるという点も大きな特徴です。排出される端材からアップサイクルされ、そしてリユースも可能というきれいな循環が可能な製品です。
国内のデニムメーカーから製造過程で排出される生地の端材が年間数百tあり、何かに活用できないかと相談を受けました。そこで思いついたのが「繊維壁」。日本の建築シーンでは、1950年代から高度経済成長時代に、住宅の内装として急速に普及したものです。これを技術改良して現代に合った繊維壁として復刻させたら、新素材として多方面から注目されるのではないかと考えました。
ゴミは移動させてしまうと、コストも上がりco2排出量も増えるので、工場の選定や、配合比率を増やしゴミの削減につながるのか、といった点を細かくチェックしました。より多くのユーザーに手に取ってもらえる身近なものにするため、住宅だけではなく施設系にも採用してほしい。そうなると耐久性はもちろん、建築基準法をクリアするため、不燃認定の取得が必須。製品をより持続可能なものにするため、設計段階から多くの事を意識して開発を進めました。
製品化後は、住宅メーカーや、工務店、企業からのオファーを多数いただきました。また採用したい建材、アップサイクル事例として多くの建築業界誌等で取り上げられました。メディアへの反応などを通じて、今までつながらなかった顧客との接点が大いにでき、既存製品の出荷も増加しました。卵殻以外のアップサイクル建材を製品化できたことも、当社にとって非常に大きな自信になりました。